[相談]
2017年(平成29年)の暗号資産の価格高騰時に得た利益については確定申告をしたものの
その後の2018年(平成30年)から2020年(令和2年)までは価格が下落し利益が全く
出なかったことから、確定申告や詳細な損益計算を行わず
それらの年分の取引記録なども残っていません
このような場合、2021年分の暗号資産取引による利益(所得)
はどのように計算すればよいのでしょうか。教えてください。
[回答]
ご相談の場合、2021年の暗号資産取引の収入金額の5%相当額を
取得価額として所得計算を行うことができます。
[解説]
1.平成30年1月1日以後に行った暗号資産取引による所得の計算方法の概要
平成30年1月1日以後に国内の暗号資産交換業者を通じて行った暗号資産取引については
それらの暗号資産交換業者から年間取引報告書を交付してもらうことで
簡便的な計算(総平均法)で、暗号資産取引による所得を計算することが可能です。
しかしながら、今回のご相談のように、平成29年以前に行った暗号資産取引については
年間取引報告書が交付されない場合があり、また、国内の暗号資産交換業者の一部
(コインチェック株式会社など)は年間取引報告書の交付そのものを行っていません
(※令和4年1月5日現在)。
そのような場合には、暗号資産交換業者のホームページ等から自身の取引履歴
(CSV)を取得するなどの方法で年間損益を計算して確定申告を行う必要が生じますが
暗号資産どうしの交換などを行うと、その損益計算は非常に煩雑となります。
また、今回のご相談のように、過去において損益計算を行っていなかった年分があると
当年だけの取引記録だけでは正確な損益計算ができないこととなります。
2.暗号資産の取得価額が不明な場合
上記1.のように暗号資産の取得価額が不明な場合は
暗号資産の売買による収入金額の5%に相当する金額を暗号資産の取得価額
として所得金額の計算を行うことが認められています。
したがって、今回のケースでは、2021年の暗号資産取引の
収入金額の5%相当額を取得価額として所得計算を行い
申告すればよいこととなります。